恩納村「ナマケモノ工房」のコーヒーカップの色合いと手ざわり。
モロッコから来たラクダのランプの灯りの下で、久しぶりの友人と楽しく語り合うひととき。
メキシカンブルーとオレンジに染められた流木のキリンを子供が発見する瞬間の暖かさ。
インドの赤いホーローポットと気泡が入った味わいあるイランのグラスでチャイをひとくち。
エッシャーの画集に迷い込む本棚。
藤岡亜弥の写真集に感じる出会ったことがない人々への懐かしさ。
ビーチに流れ着いたガラスの小瓶を眺めながら味わう島のフルーツのセミフレッド。
スパイシーな石垣島産車えびのカレーをたいらげた後に出てくる「於茂登窯」のカレー皿の不思議な絵。
「トラベラーズカフェ朔(さく)」で、そんな一瞬と出会っていただければ幸いです。
「朔」とは「新月」の意味です。
旧暦における「ついたち」。転じて「ものごとのはじまり」という意味もあるそうです。
2000年8月。私たちは東京で移動販売のカレー屋としてお店をスタートしました。
「新月」からの一歩。
それぞれの場所で多くのお客様に恵まれました。
2007年2月。現在の石垣島に移りました。
再び「新月」に戻り、新たな気持ちでお客様をお迎えしています。
「トラベラーズカフェ」というのは、移動販売であったこと、それからアジアを中心に旅をしていた私たちのバックグラウンドに由来しています。
少しだけ日常を離れて、気分よく過ごす時間。
「朔」のメニュー、書棚の本、器、小物、植物、音楽など、味わい見つめているうちに、かつて訪れたことのある風景、いつか旅してみたい町など、お客様にとって特別な場所にいつの間にか心が溶け込んでいるような、そんな気持ちになっていただければ、と思います。
ここちよい旅のような時間が朔の中で流れますように。